一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
1番星
「夢月」
バージンロードの向こう、ステンドガラスから差し込む光を背に、大好きな人が手を差し出す。
まるで、あの日に戻ったかのように、記憶の中の蓮と、姿が重なる。
豊さんに手を引かれながら、あたしは色んな事を思い返した。
ママとパパの子供じゃなければ、あたしは豊さんや喜一お兄ちゃんの家族にはなっていなかったかもしれない。
病気にならなければ、あたしはあの家を飛び出さなかったかもしれない。
そして、蓮と出会わなければ……。
『………俺の所に来い』
あの日、あの手をとっていなかったら…。
あたしはきっとここにはいない。