一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「それに、もう病院は十分……」
「…十分って…お前どっか悪いのか?」
「…えっ…?」
夜空に散りばめられた星から視線を外して蓮さんを見る。蓮さんは真剣な瞳であたしを見ていた。
「…やっぱり悪いのか?」
「ぜ、全然。この通り元気だよ」
バンザイして見せると、蓮さんは安心したように笑みを浮かべた。
良かった…ばれなくて。時々口が滑っちゃうな。というより、蓮さんが鋭いのかも。
「あっ…1番星あれかな?」
よーく目を凝らして夜空を見つめる。その中に一際輝く星があった。
「…1番星?どれも一緒だろ」
蓮さんも、あたしと同じように空を見上げた。
「違いまーす!一番星は日が暮れてから最初に見える星で、星の中で1番明るい星なんだよ」
ほらあそこと夜空を指差すと、蓮さんもあたしの指差す方向を見る。
「…あー……どれだ?」
「あそこっ!」
「…あ?」
「蓮さん…今どの辺見てる?」
「…どの辺だろうな」
そんなやり取りが面白くて笑ってしまう。誰かとこうやって星を眺めるのは良いかもしれない。