一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
―ガチャン。
「ただいまー…って誰もいないよね」
蓮さんはまだ帰ってこないだろうし。
買った物を冷蔵庫にしまって、料理の仕度をする。
「肉じゃが、味付けしなきゃ」
これでも料理の腕には自信がある。杉沢家に引き取られてからは、あたしがご飯を作ってたから。
杉沢家にはお母さんがいない。喜一お兄ちゃんが12才の時に離婚してしまったらしい。
あたしのママは豊かさんの妹だった。
あたしを引き取ってくれた杉沢家の役に立ちたくて、料理を始めた。
「こんな所で役に立つとは思わなかったなぁ」
あと2ヶ月半。こんな風に過ごすのも…良いかもしれない。
「あっ…お風呂洗っておこう」
蓮さんが帰ってきたらすぐにでも入れるようにね。