一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「…こいつ見てくれ」
「蓮、久しぶりねぇ。最近来ないから心配してたのよ?」
蓮さんに連れて来られたのは、早瀬病院という小さな病院だった。
「…挨拶はいいから早くこいつを見てくれ」
「はいはい」
蓮さんと話しているのは綺麗な女の人…。27、8代くらいかな…?
最近来ないって…前まではここに通ってたのかな。
「藤島さん、彼女頭のCT撮って、あと、採血もね。出しだい結果頂戴」
女の人の指示で、看護師さんたちが動き出す。検査をもろもろ終わらせて、あたしは診察室へと通された。
「えーと……」
「杉沢夢月……です」
「まだ顔色悪いわね。蓮、夢月ちゃんをこっちのベットに運んでちょうだい」
「あぁ」
蓮さんはあたしをベットの上に優しく降ろす。そして、心配そうにあたしを見つめた。
蓮さん……。
「蓮は外で待ってて」
「……っ、わかった。夢月、ちゃんと見てもらえ」
それだけ言い残し、蓮さんは診察室を出ていく。
―パタン。
診察室の扉が閉まると同時に、女の人はあたしに笑顔を向けた。
「あたしは早瀬 博美(ハヤセ ヒロミ)よ。これでもレディースの総長やっててね、族関係の患者も見てるの」
「レディース……」
想像できない……。綺麗でどこか品を感じさせる博美さんが暴走族を…。
「ふふっ…以外かしら?それでね、蓮はあたしの弟みたいな奴でね。怪我をしても此処にはあんまり来ないから何かと思ったわ」
「……強がり………」
「本当よねぇ…。ってごめんなさいね。さぁ、診察しましょうか」
「あ……待って下さい」
もう隠せない…。博美さんにはちゃんと言わないと。
「実は…………」
あたしは病気の事、家出した事、蓮さんの家に居候になっている事を話した。