一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
ーガチャン。
部屋から出ると、蓮さんが駆け寄ってきた。
「夢月っ!!」
蓮さんは何か言いたげにあたしを見つめる。
あたしに心当たりがあることに気づいてるのに、やっぱり、蓮さんは何も聞かないでくれる。
何も言えないのに、優しくされて……。あたし、ずるいよね…。
「蓮、夢月ちゃんは貧血ね。頭も特に異常はないわよ」
扉に寄りかかって、腕組をしながら博美さんが答えてくれる。
「そうか、良かっ……」
「でも、蓮。夢月ちゃんから目を離さないで」
「ちょっと」と蓮さんを呼んで、博美さんは真剣な瞳で見つめた。
「もうあんたしか、この子の心は変えられない」
「は?なに言ってんだよ、博美さん」
蓮さんは、怪訝そうに博美さんを見つめる。
「あたしからは何も言えないよ。ただ……」
博美さんはあたしを見て、悲しげに顔を歪めた。
「夢月ちゃんから目そらすんじゃないよ。そんで、何を知っても、傍で守んな」
「…………博美さん、あんたなんか知ってんのか?」
「その答えは、あんたが見つけな」
そう言って、博美さんは診察室へ入っていく。
帰り際、「待ってるわよ、夢月ちゃん」そう言って博美さんは手を振ってくれた。