一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
―バタン!!
「…これ、羽織ってろ」
「うん…ありがとう」
蓮さんは自分が来ていたジャケットをあたしに手渡す。
あ……温かい……。蓮さんの体温を感じると、安心する。
「行くぞ」
「あ、あの…蓮さん」
車を走らせようとする蓮さんに、あたしはたまらず話しかけた。
「…………どうした?」
「どうして、優しくしてくれるの?」
あたしのために必死になってくれる理由が分からない。優しくしてくれる理由を知りたい。
あたしに、そこまでの価値があるの?
「何も聞かずにいてくれるのはどうして……」
あたしは、どんなに優しくされても、何も話せないのに。
「俺は、夢月の事…ちゃんと見てるつもりだった」
蓮さんは、前を見つめたまま、話し出す。その横顔を見つめた。