一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「そんじゃあ俺らは失礼するっす総長!」
「…………あぁ」
あれから、夕方までどんちゃん騒ぎ、皆が帰る時間になった。
なんだか、寂しいな……。皆、本当に良い人たちばっかりだった。
「夢月さんも、また会いにくるっす!」
「また、手料理食いてぇ!」
「今度は、ババ抜きしよーぜー!」
皆が一斉に話しかけてくる。仲間の一員になれたみたいで、嬉しかった。
「ふふっ、はい!!」
あたしが笑うと、皆が一瞬固まる。
……え?異様な空気に、あたしが蓮さんを見上げると…。
「変な目で夢月を見るんじゃねぇ」
ドスの効いた声で一喝した。
「ひ、引くぞー!!」
「はぃぃー!!」
タケさんの一言で皆いっせいに帰って行く。
「ったく……」
それを見送り、蓮さんはため息をついた。
「無防備」
「え?」
「あんま、心配かけるな」
ポンッとあたしの頭を撫で、蓮さんは先に家の中に入る。
今日は、蓮さん楽しそうだった。それに、あたしも……。あんなに笑ったのは久し振りだった。
また、自然と笑顔になる。
「待って!蓮さーん!」
蓮さんを追いかけて、その背中にギュッと抱きついた。
「おい」
「ふふっ、蓮さん、夜は何が食べたい!?」
「………カレー」
「了解しました!」
そう言って2人で笑い合う。
蓮さんの笑顔に、あたしまで笑顔になった。こんな風に、ずっと幸せな気持ちでいられますように、そう願った。