一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
宮島……。
宮島 智子(ミヤシマ サトコ)と宮島 正典(ミヤシマ マサノリ)の子供である証。
「お父さん」
同い年くらいの男の子が豊さんの後ろからひょいっと出てきた。
「喜一、この子は夢月ちゃん」
「夢月?」
名前を呼ばれ、あたしは顔を上げる。
「悲しい、のか?」
喜一お兄ちゃんは、あたしに手を伸ばし、そっと頭を撫でた。
「………っ!!」
その手が温かかったからか、あたしは初めてそこで泣く事ができた。
ハラハラと頬を伝っては落ちる涙を、あたしはどうすればいいのか、分からなかった。
「夢月ちゃんのママ、俺の姉さんは、本当に優しい人でね、俺は本当に大好きだったんだ」
豊さんは、あたしに手を差し出す。
「大好きな姉さんの宝である夢月ちゃんの事も、俺は大好きだよ。夢月ちゃんは、もう俺たちの家族だ」
笑いかけてくれる豊さんは、嘘をついているようには見えなかった。
誰もがあたしを面倒な置き土産と思っていた中、杉沢家の人たちは違った。
本当にあたしと向き合ってくれた人だったから。
だから、あたしはこの人たちと一緒にいる事を選んだ。