一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「タケ、狼牙総出で夢月を探せ」
「夢月…さんっすか?何かあったんすね…」
タケの声も真剣みを帯びた。
「あいつは体が悪い。なのに、一人で勝手に出て行きやがった」
どこかで倒れたらどうするつもりだ…。その場に誰もいなかったら?
風呂場であいつが倒れてた時、あいつを一人にした事を死ぬほど後悔した。
それから誓った、あいつを一人にしないと…。
「了解っす!!お前等、総長の命令だ!!今すぐ夢月さんを探せ!!」
「オオーーッ!!」
電話ごしにあいつらの叫び声が聞こえる。
さすがタケ…だな。
「総長、見つけたら連絡しますから安心して下さいっす!!」
「…あぁ、悪い」
「総長、らしくないっすよ!」
らしくない………か。そうだ、夢月の事となると、こんなにも心が乱れる。
「俺等にとって、総長と夢月さんは仲間っす。仲間を助けるのは、当たり前っすよ!」
「タケ……。そうか、ありがとな」
「はい!!待っててください!!」
―ピッ!
「夢月っ……」
電話を切ってバイクの鍵を手に取る。上着を羽織り、そのまま家を飛び出した。