一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「…自分だけ助かっといて…生きたいだなんて…」
二人は死にたくなかったのに死んじゃって…。あたしは生き残って……。
「ごめんね…2人とも…」
蓮さんといた時間があまりにも楽しくて…。充実してたせいかな…浮かれてた。
墓石に優しく触れて、額をくっつける。こうすれば、2人に近付ける気がしたから…。
「2人とも…大好き…」
あたしもそっちに行くからね…。遅かれ早かれ、これなら約束出来る。
あたしはしばらくそのままそっと瞳を閉じた。
この日は、この日だけは、あたしが2人に向き合う日だった。普段は、思い出すのも辛くて、目をそらしてきたけど、今日は泣いてもいいから…。
「……………空が赤い」
次に目をあけると、気づけば日が暮れていた。茜色の空があたしを照らす。
そろそろ帰らないと…。蓮さんが心配するもんね。
あたしは手に持っていたコスモスの花を墓石へ供えた。
「あたしね、今とてもお世話になってる人がいるの」
風に揺れるコスモスを見つめながら、蓮さんの事を報告する。
コスモスは、パパが結婚記念日の時にママにプレゼントした思い出の花だった。
「恐い顔してて、朝寝坊するし寝起きが悪くて、心配性で…」
「酷い言いようだな…お前」
2人に話しかけてると、後ろから呆れたような声が聞こえた。
「嘘っ……」
驚いて振り返るとそこには……。