一番星のキミに恋するほどに切なくて。《改装版》
「…夢月、どうした」
ぼーっとしていたせいか蓮さんが隣に座っていた事に今気付いた。
「あ…蓮さんに改めて感謝してた所なんだよ」
「何だ、突然」
蓮さんは小さく笑って、あたしを見つめる。
「あたし…今凄く幸せ。蓮さん達に出会えて良かったって…そう思ったの」
蓮さんがあたしに沢山の幸せをくれる。真っ暗だった暗闇から引きずり出してくれた。
「あたし…蓮さんに見つけてもらえて…良かった…」
泣きそうになるのを堪えて笑うと、蓮さんは優しく頭を撫でてくれた。そしてそっと、蓮さんはあたしの頭を胸に引き寄せた。
「…俺も………お前を見つけたのが俺で良かったと思ってる」
そう言ってくれた蓮さんに抱き着いた。
こんなにも、一緒にいて安心する。たまに、ふいに向けられる笑顔に、体温に、声に、言葉にドキドキさせられる。
そんな感情に名前をつけるのだとしたら、あたしはたぶん…。
蓮さんに、『恋』をしてしまったのだと思う。何度も目を背けても、もう、誤魔化せないくらいに育ってしまったのだと思った。
何も言わずに抱きしめてくれた蓮さんの腕の中で、今だけはと、その幸せに浸るように、眠った。