ドラマ好きの何が悪い
今日のお出かけは4人だし、なんとなくラフな感じで黒TシャツとGパンに履き替える。

自分の顔を鏡に映した。

化粧っ気のない顔。

明らかに20代の頃とは違う「くすみ」も出てる。

なのに、こんな私にシュンキはキスをした。

頬を両手で覆う。

恥ずかし!

男の人とする久しぶりのキスだった。

シュンキの唇はとても柔らかくて、冷たかった。

思い出して頭がボワンとする。

いかんいかん、早くお化粧しなくちゃ。

軽めにファンデーションを塗って、口紅をさした。

少し赤いかな。

口紅の色が気に入らなくて一度ティッシュで拭き取った。

もう少しベージュがかった目立たない方の口紅にする。

これでよし。

時計を見ると、もうすぐ30分になろうとしていた。

玄関の鍵を閉めて、下に降りる。

既にシュンキは車でスタンバイしていた。

「ごめん、遅くなっちゃって。」

「僕も今到着したところ。行こうか。」

「うん。」

車は狭い路地を通って、大通りに抜けた。

大通りからしばらくいくとN川に突き当たる。その川沿いに待ち合わせのコンビニがあった。

コンビニの駐車場には既にカイト達が到着していて、車の外で談笑しているのが見えた。

へー、結構お似合いじゃん。

そんな二人を遠目で眺めながら思った。

ハルカも軽装だった。とはいえ、上は白でフリルがついているキュートなTシャツだったけどね。

「お待たせ。」

シュンキと私も車から出て二人の方へ歩いて行った。

「あ、ミナミ先輩!今日は素敵なお誘いありがとう!」

お誘い、って別に私が提案したわけじゃないんだけど、ま、いっか。

「たまには4人でっていうのもありかもね。」

私は笑った。

カイトが3人の顔を見渡しながら言った。

「今日だけどさ、せっかくだから少し遠出しない?」

「例えば?」

私が聞き返す。




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