ドラマ好きの何が悪い
慌ただしく自分の机の上を片付けて、早退した。

整形外科の先生曰く、順調に回復しているらしい。

とにもかくにもホッとする。

1週間分の湿布をもらって、病院を後にした。

湿布を手にするたびに、シュンキを思い出す。

胸がきゅんとなるような感覚は、久しぶりだった。

結婚は、まだ考えられないけど、間違いなく久しぶりに私の中でその存在は大きくなっていた。

この年にもなって、まだ男性にきゅんとするなんて思わなかった。

大人になればなるほど、そういう感覚なにぶって、恋も愛ももっと冷静に見つめられるものだと。

時計を見ると、16時半だった。

世のサラリーマン達は、17時にわくわくしながらまだ仕事に奔走しているのね。

そう思うと、このたった30分が得した気分になる。

せっかくだから、この30分を有効に使おう。

甘い物食べたい。

一人だけど全然平気なんだよね。

通りを歩きながら、キョロキョロしていた。

あ、あったあった、クレープ屋。

昔からクレープって好きだったのよね。

生クリームとバナナとチョコ。この絶妙な組み合わせをフワフワのクレープがうまいぐあいにマッチングさせてくれる。

学生の頃、かぶりつくたびに幸せな気持ちになったよな。

気持ちが若返ってる時って、食べるものも若返るもんなのかもね。

私の足は、ためらいもなくクレープ屋に向かっていた。

クレープ屋には何人か並んでいた。

学生らしき女の子達。小さな子供を連れたお母さん。そして、サラリーマン風な人と女性。

サラリーマン風な人・・・なんか見たことあるんですけど。

この人、もしかして?!

向かっていた足を止めた。
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