ドラマ好きの何が悪い
そして、キスされた。

二回目のキス。柔らかくて優しいキスだった。

「これでもまだ信じられない?」

シュンキが耳元でささやく。

シュンキの体はとても熱かった。なのに手だけとても冷たい。

冷たい手が私の頬を撫でる度にぞくぞくした。

「いつも冷静に振る舞ってるけど、本当はめちゃくちゃカイトに嫉妬してるんだ。」

耳に当たるシュンキの声はとても熱かった。

このまま、このままいっちゃう?!

まだお昼ご飯食べてないんですけど!

その時、私のお腹がぐーっと鳴った。

シュンキが私の顔を正面から捕らえて、そして大声で笑った。

「ミナミさん、さすがだよ。やっぱりいけてる。」

「もー、恥ずかしいわ。」

私はお腹を押さえて、うずくまった。

穴があったら入って、二度と出て来たくないくらいに恥ずかしい。

どうしてこうなっちゃうんだろう。

せっかく、シュンキと初めての甘い時間を過ごせそうな雰囲気だったのに。

それはそれでかなり緊張するけどね。

シュンキの笑ってる姿を見て、今のシュンキなら信じれるような気がした。

でも、こんなイケメンが私だなんて、そこだけは未だに信じられない。

あのオレンジの女性。

眼鏡をかけて一見地味なんだけど、肌が白くてとても美しい雰囲気の人だった。

あんな人に焦がれていたシュンキが私なんて。

共通点は色が白いとこくらいじゃない?

「ごめん、急いで握るわ。」

私は気を取り直しておにぎりを急ぎで握った。

ピーマンを刻んでソーセージを焼く。

卵焼きも作った。

ソファーの前のテーブルに全部並べて置く。それなりに賑やかなお昼ご飯じゃない?

「うまそ。」

シュンキは「いただきます!」と言っておにぎりを頬ばった。

「うまいよ。塩加減最高。」

シュンキは嬉しそうな顔で食べた。こんな風に自分の作ったご飯を嬉しそうに食べてくれる男性、ここ数年はカイト以外にいなかった。

私もおにぎりを一つ手にとって食べる。うん、いい塩加減。

その時、玄関のチャイムが鳴った。
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