ドラマ好きの何が悪い
「とろけるチーズあるけどのっける?」

「いるいるー。」

そう言いながら、カイトはテーブルに置いてあった新聞を勝手に広げていた。

これくらい長い付き合いになると、腹も立たない。

「はい、どーぞ。」

コーヒーとトーストをカイトの目の前にドンと置いた。

「あ、いつもありがとね。」

そしてカイトはポケットから200円を出して、私に手渡した。

休日、うちで食事をとるときは決まって五百円を私に払う。

いくら「もうやめて」と言ってもそこだけは譲らなかった。

どうでもいいところは律儀。

それだけ律儀なんだったら、こんな朝っぱらから人んち上がり込むなっての。


カイトはトーストにがぶりとかぶりついた。

「うめ。」

品のない食べ方。

やだねー。

私はカイトの座るソファーの前に座布団を置いて座った。

そして、さっき見かけていたドラマの続きを再生する。

カイトはトーストにかぶりついたまま、テレビの方に目線を上げた。

< 2 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop