ドラマ好きの何が悪い
19章 ドラマ好きの何が悪い
・・・どうでもいいことを先にやって、やらなければいけないことを後回しにする。

昔からよく母に言われていた。

優先順位なんて、あってないようなもの。

何も考えず、先に片付けられることをしているだけだ。

20日の朝。

カイトに連絡すべきか迷いながら、部屋の片付けをしていた。

冷蔵庫の中身を全部出して、棚を拭いている。

こんなこと、年末の大掃除にすりゃいいことなのに。

今朝、朝食を作る時に冷蔵庫に冷やしていたスープをこぼしてしまったのがそもそもの発端だ。

冷蔵庫の中にスープまき散らすなんて、幸先悪くない?

だから、とりあえず汚れた冷蔵庫をきれいにしようと思った。

こないだの夢が正夢にならないように、事前にカイトに連絡を取ろうと思っていたのに、結局できないまま今日を迎えている。

ようやくきれいになった冷蔵庫を満足気に眺める。

これでよし、と。

額ににじんだ汗を手の甲でぬぐった。

時計を見ると、10時を回っていた。

そろそろ身支度整えて出る用意しなくちゃ。

今日は早めに空港について、カイトを待ち構える作戦だ。

シャワーを浴びて、髪を束ねた。

鏡に映る自分。なんだか顔がまるい。少し太った?

これじゃ、まじでマシュマロマンだよ。

顔のリンパマッサージを施して化粧を念入りにした。

緊張で、うまく口紅がさせない。

何度もリップペンシルで書き直す。

若干オバQちっくな唇になってしまった。これ、絶対突っ込まれそうだな、と思いつつ時間がないのであきらめる。

なんというか、朝からどうも色んなことがスムーズにいかない。

それは私の気持ちが急いてるから?

ゆっくりと深呼吸をして、玄関の鍵を閉めた。








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