ドラマ好きの何が悪い
「ごめん。」

カイトはいつになく素直に謝った。

なんだか気まずい空気が流れる。

なんで、あんなに怒っちゃったんだろ。自分でもわからない。

普段あまり感情的にならないのに。

これも年齢のせい?

残っていたワインを飲み干して、

「私もごめん。言い過ぎたわ。」

と、二人に謝った。

「ま、ま、せっかくなんだし、楽しく飲みましょうよ。」

ハルカは空になった私のグラスにワインを注いだ。

「お前さぁ、最近妙に怒りっぽいぞ。シュンキは意外と大和撫子好きだからな。」

そんなカイトの言葉は、今は逆にありがたかった。

「あんたにだけよ。大和撫子じゃないのは。」

ワインを飲みながら、目線だけカイトにうつして言った。

「あのー。」

ようやく、普段の雰囲気に戻った時、ハルカがカイトに声をかけた。

「立花さん、すごく仕事もできてかっこいいって社内女子から噂の的ですけど、知ってました?」

カイトが調子に乗りそうな話を振ってきた。

「おっ。そうなの?やっぱ俺ってモテるわけだわ。」

そう言いながら、したり顔で私を一瞥した。

「女子達に報告するのに、教えて頂けません?立花さんの好きなタイプ。」

「好きなタイプ?」

私は表面が渇いてきたかつおのたたきを摘んで自分のお皿に入れた。
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