ドラマ好きの何が悪い
「そのことについて二人で話はしたの?」

「そんなの切り出せるわけないじゃない。」

「だけど、取り越し苦労なんてこともあるかもしれないよ。このまま、悶々と過ごすよりは。」

「簡単に言ってくれるけど、もし、やっぱり浮気だったとしたらどうする?子供もいるわけだしそう簡単な問題じゃないんだよ。先のことまできちんと考えて、冷静に話し合いできる状況じゃなきゃ。」

カズエの瞳は潤んでいた。

今にも泣き出しそうな顔に、自分の浅はかな発言を後悔する。

「そうだよね。ごめん。家族全体の問題だもんね。」

「でも、いつかは話しなくちゃなんないもん。いつ話ても一緒なら早いほうがいいかもしれない。」

さっきまでの朗らかなカズエとあまりにも対照的な険しい表情に、思わず言葉を失っていた。

「話し合いの時、ミナミもそばにいてくれる?」

突然の提案に思わず身を引いた。

「え?!どうして私が?」

「だって、一人だと心細いし、なんだか訳わかんないこと言っちゃいそうなんだもの。」

「それは、わからなくはないけど、旦那は嫌がるんじゃない?」

「そんなの知ったこっちゃない。」

「だって、家族の問題なんだもん。私が入り込むのはおかしいよ。」

「だけど、ミナミはうちの旦那のこともよく知ってるし、共通の友人として立ち会ってもらいたいの。」

カズエの目からとうとう涙が溢れでた。

自分のハンカチでカズエの涙を拭いてあげた。

「ごめんね。取り乱して。」

「うん、いいって。」

そう言いながら、カズエの肩を撫でた。

旦那に浮気されたなんて、本当につらいと思う。

彼氏ですらつらいのに。

かといって、私がこれまで彼氏に浮気されたかっていうと、自覚はないんだけど。

知らなくていいことは知らない方がいいのかもしれない。
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