ドラマ好きの何が悪い
私は「ふぅっ」とため息をついて、DVDリモコンをテーブルに置いた。

「なんか話があるなら、先聞いちゃうわ。」

こういう風に切り出す時って、大抵カイトが何かに迷ってる時だ。

仕事か、女性問題か、実家のことか・・・これまでも色んな問題について私のアドバイスを求めてきてた。

たまには自分で考えろっての。いい大人のくせに。

「お前さ、最近男と付き合ったのって、いつだっけ?」

私に聞くわけ?!

「5年前」

「もうそんなに経つんだ。確か、会社のサークルの先輩だったっけ?」

「よく覚えてるわね。付き合ってる時は大して気にも留めてなかったくせに」

「俺は一度聞いたことは二度と忘れないタチだからな。」

「あそ。」

「んで、その後、誰かに告白されたり、求婚されたりとかはなかったわけ?」

「ないけど。」

そう答えた瞬間、カイトは目を大きく見開いて、嬉しそうに笑いやがった。

「まじで?!」

「そんなに笑うような楽しい話でしょうか?」

なんだか腹が立ってきて、きつめの口調で言った。

「いやいや、そりゃドラマにはまるわな。」

私は持っていたコーヒーカップを音を立ててテーブルに置いた。

「話はそれだけ?じゃさっさと帰って。私は忙しいんだから!」

リモコンに手をやると、カイトは私のリモコンを持った手ごと掴んだ。

「何よ、離してよ。」

「これから先のこと、もうちょっと話す気ない?」



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