ドラマ好きの何が悪い
そうそう、ハルカに連絡してみようかな。

昨日、カイトとのデートどうだったか。

カイトからは話聞いたけど、一方的な話じゃ実際のところわからないものね。

とりあえず、朝食を採ってそれからハルカに電話した。

呼び出し音は鳴っているはずなんだけど、全然でない。

まだ寝てるのかな。

時計を見ると9時半過ぎだった。

とりあえず、一時停止を解除してドラマを見始めた。

・・・。

だめだ頭に入ってこない。今のこの裏寂しい雰囲気、打破しなくちゃ!

もう一度ハルカに電話をかけた。

「もしもし。」

出た出た。

「あ、ハルカ?おはよう!まだ寝てた?」

「ううん。もう起きてるよ。ごめん、今電車乗ってるんだ。」

「え?お出かけ?」

電話の向こうで少し言いにくそうなもじもじした感じが伝わってくる。

なになに?

「これから立花さんと映画見に行くの。」

とても小さい声だった。

きっと、電車の中だからだろう。

「そっか。じゃ、楽しんできて。」

体の力がすーっと抜けていく。

「うん、ごめんね。また連絡する。」

そしてハルカの電話は切れた。

しばらく、スマホを片手に身動きが取れなかった。

なんだろう。この独りぼっち感。

いつもそばにいる人間がそばにいてくれないってこんなにも空しいものなんだ。

コーヒーのお代わりを入れた。

ソファーに座る。今日はなんだかドラマ集中して見れなさそうだな。

そうだ。

シュンキは今どうしてるんだろう。

昨日、あの後仕事に向かったから、まだ寝ているだろうか?

そんな状態だったらって思ったら、シュンキに今電話する勇気は出てこなかった。
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