黒い天使。
少し早く起きて、いつも乗る満員電車じゃなくて、少し空いてる電車に乗った。

いつもより早くついた会社は人がまばらだった。

部長は結構真面目な人で、早く会社に来ているから、今なら渡せるかもしれない。


「おはようございます。部長」

「あぁ、倉橋くん。おはよう。どうかしたかい?」


スッと退職届を出した。


「…これは…」

「いきなりすいません」

「どうしてだか聞いてもいいかい?」

「実は、祖母が倒れまして、うちの家庭は複雑なので私が祖母の元へ行くことになりました」

ごめんおばあちゃん。

「そうかい…それは大変だね。君は仕事も出来るからもったいないねぇ。じゃあこれは処理させてもらうよ」

「はい。お願いします」


早めに来たので、引き継ぎのための仕事をこなした。


「おはよー、咲愛!」

「おはよう。知華」


知華も出社して、いつも通りの日常が始まった。

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