黒い天使。
あぁ。会いたいなぁ。

なんて、少しバカらしいかもしれないけれど、意識した瞬間に会いたくなる。


『心雪…?』


それを戒めるように頭の中に彼方くんのあの切ない声が響く。

重いため息をつく。

なんで、気づいてしまったんだろう。

なんで、好きになる前に通うのを辞めなかったんだろう。

なんで…なんで…。

そんな後戻りのできない後悔を繰り返す。
まるであの時の私のようだった。

でも、一つだけ違うのは目を瞑ってもその人は帰ってこないということ。

いや、あの時あの人も帰ってこなかった…か。

あの時を繰り返している気分だ。



なんて、ソファーに寝転がって考えていると、いつの間にか意識は遠のいていった…





< 26 / 167 >

この作品をシェア

pagetop