黒い天使。
「あがったー」

「んー。姉ちゃんあのまま死んでたかもね」


そうわらいながら、亮は言った。


「起こしてくれてありがとう!」


いーっと歯を見せると、子供かよといいもう一度わらった。

本当に今日は亮に感謝してばっかだ!


「あのね。彼方くんにね、奥さんがいたんだー」

「え?奥さん?」

「うん。すごく可愛らしい人だった。お腹も大きかったんだよ」

「赤ちゃん?」

「うん!幸せそうだったー!」

私は心配かけたくない一心で笑いながら言った。

すると、亮は私を抱き寄せ、


「姉ちゃん、身内の、弟の前で強がってもバレるよ」


そう冷静に言った。


< 92 / 167 >

この作品をシェア

pagetop