社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
ふと、データ側に余分な数列があることに気がついて、それを削除するとうまくいくようになった。

「これで、大丈夫ね」

「すごい! ありがとうございます。午前中からいきづまってたから、助かりました」

椅子に座って、嬉しそうにこちらを見る彼女に私も笑顔になる。

「よかったね」

「はい……あの」
言葉を詰まらせた彼女が、それまでの笑顔を一瞬にして崩す。

「どうかした?」

急にどうしたんだろうか? 少しためらいがちに私から視線をそらせた彼女が、口を開く。

「今まですみませんでした」

「え? なに言って——」

急に謝罪されてドキリとする。

「私、蓮井さんに嫉妬してました。ここに異動してきたばかりなのに、すぐに結果出してみんなに認められて、うごく羨ましかったんです」

「そんな……」

私はそんな人間じゃない。一生懸命仕事はしてきたけれど、独りよがりのものだった。現に山崎部長から……。

「山崎部長が——」

頭に思い描いていた人物の顔を、彼女が口にしてハッとした。
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