社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
何度もキスをしたあと、やっと彼は私を解放してくれた。
そっと、整えたばかりのベッドに私を座らせると、彼も隣に少しの距離を空けることなく腰掛けた。
キスの熱から少し醒めて、その代わり気恥ずかしさと、少しの不安が胸によぎった。
「若林くん……本当に私でいいの?」
私はつま先だけしか床についていない、自分の足を眺めながら聞いた。
「この期に及んで、まだ言ってるんですか?」
笑いを含んだ彼の声を聞いて、自分の心の中を打ち明けた。
「私って、若林くんが思ってるよりもずっと情けない女なのよ。恋だってうまくできないし、そういうのを知られたくないから、ずっとまわりに隠してきたの」
話をする膝の上にある私の手を、若林くんが優しく包み込む。
「知ってます。そういう不器用な部分をみて、あなたのことを好きになったんですから」
顔をあげて、彼のほうを見ると優しく私をみていた。
その柔らかい視線が、自信のない私に勇気をくれるような気がした。自分のダメな部分さえ、好きだと言ってくれた。
かさねられた手に、力がこもる。
「ほら、他には? 全部吐き出してください」
促されるように、自分のことを話した。
「若林くんにも、どうやって自分の気持ちを伝えたらいいのかわからなくて、少しでも可愛くなれるように、頑張ったんだけど」
話していて、なんだか恥ずかしくなってきた。自分の努力をわざわざ相手に聞かせるなんて、なんか間違ってないだろうか?