社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
グルグルと色々と考えながら、彼の隣を歩いていると、すぐにお店に到着した。
看板には『洋食の店、たまき』と書いてある。
その看板の前から、数人の列ができていて、私たちはその最後尾に並んだ。
「やっぱり、並んでますね」
「うん。でもこのくらいならすぐ入れそうだね」
「そうだといいんですけど」
若林くんは私の日傘を開いて、私にさしてくれた。
「ありがとう。でも、自分で持つよ」
「いいえ。渡した途端帰られたら困りますから。これは人質ならぬ傘質です」
真面目な顔できっぱりと言った様子がおかしくて、思わず吹き出してしまう。
「もう、そんなことしないってば」
「それでも、これは今日のデートが終わるまで返しません」
悪戯っぽく笑う顔にドキリとしてしまう。今まで若林くんに感じていた、礼儀正しさやさわやかさとはかけ離れている。
そもそも……デートって。
たまたま会社の同僚に休日に出会って、お互い時間があるからランチをするだけで、それがどうしてデートという話になっているんだろう。
彼の言った一言をじっくり考えていた自分に気が付いてハッとする。きっと深い意味なんてないはず。
それなのに、たかが『デート』っていう単語ひとつにこだわってバカみたいだ。
看板には『洋食の店、たまき』と書いてある。
その看板の前から、数人の列ができていて、私たちはその最後尾に並んだ。
「やっぱり、並んでますね」
「うん。でもこのくらいならすぐ入れそうだね」
「そうだといいんですけど」
若林くんは私の日傘を開いて、私にさしてくれた。
「ありがとう。でも、自分で持つよ」
「いいえ。渡した途端帰られたら困りますから。これは人質ならぬ傘質です」
真面目な顔できっぱりと言った様子がおかしくて、思わず吹き出してしまう。
「もう、そんなことしないってば」
「それでも、これは今日のデートが終わるまで返しません」
悪戯っぽく笑う顔にドキリとしてしまう。今まで若林くんに感じていた、礼儀正しさやさわやかさとはかけ離れている。
そもそも……デートって。
たまたま会社の同僚に休日に出会って、お互い時間があるからランチをするだけで、それがどうしてデートという話になっているんだろう。
彼の言った一言をじっくり考えていた自分に気が付いてハッとする。きっと深い意味なんてないはず。
それなのに、たかが『デート』っていう単語ひとつにこだわってバカみたいだ。