社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~

「今日の日替わり何でしょうか? 実は久しぶりだからすごく楽しみで。午前中の業務はランチを楽しみにして乗り越えました」

私の問いかけに、無邪気に河原さんが答えてくれた。

話の流れが変わってホッとした。

なるべく彼のことは、私の脳内から追いださないと。変に意識して態度に出ても困る。

しかし、こんな風に名前がでるだけで色々と彼のことを考えてしまう。どうしちゃったんだろう……私らしくない。

定食屋はいつも通り混雑していたけれど、私たちが店に入るとちょうど四人掛けのテーブル席が空いた。

私の隣には河原さんが座り、彼女の向かいに滝本さんが座った。

手書きのランチメニューを見ながら、ふたりは同じ日替わり定食のチキン南蛮を注文した。いつもよく食べる滝本さんはご飯も大盛りだ。

それだけ食べても太らないなんて、本当にうらやましい。

私なんて、少し食べすぎるとすぐにお腹にお肉がつくようになってしまった。昨日眠れなくて夜中にビールを煽ったことを思い出し、私は煮麺を注文した。

待っている間も話は続いている。もちろん食事が始まっても短い時間を惜しむようにおしゃべりはつきなかった。
なにかのきっかけで話題が衣川くんの話になった。

河原さんは衣川くんの下で働くようになって二年目だ。

去年は、結構厳しい指導を受けていることも多くて、少し心配していたのだけれどその都度真摯に対応していて、今では彼からの信頼も厚いように見える。
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