社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
本人たちにしてみれば、今のただの同期としての関係も大切なのかもしれない。

けれどお互い思いあっているのに、そこから先に踏み出さないのはもったいないと思う。

八年間恋愛から遠ざかっている私には、恋をしているってことだけでもうらやましく思う。

河原さんと会話をしながらも、ひとりの男性の顔が思い浮かびそうになった。若林くんだ。

いくらプライベートでの男性との接点がないからといって、彼を思い浮かべるなんて馬鹿げている。

そんなことを考えながら煮麺に乗っているかまぼこを、箸でつつく。

「貴和子さん?」

黙りこんだ私を不思議に思ったのか河原さんが首を傾げている。

「ん、なんでもないの。私たちも早く食べてしまいましょう」

「はい」

つついていたかまぼこを口へ運び、食事を再開した。

午後からも仕事は山積みだ。ぼーっとしている暇なんてないんだから。
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