社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
十月の半ば、出社後すぐに先月の各営業担当の売上のチェックをしていた。
報奨金に関係することで、給与にそのまま反映される。
経理課へとデータ送信するために各営業課からあがってきている資料の確認作業を行う。
間違えると営業さんや経理にも迷惑がかかるので、いつも慎重に作業を進めていた。
あれ……この数字。
確か一緒に販売している付属品に関しては、報奨金の数字には入れてはいけないことになっているがこの数字だと、含まれていることになる。
「営業二課か……」
担当は合田(ごうだ)さんのはず。もう営業事務も四年目だしこの報奨金のルールが決まってから一年以上経過している。
知らないはずはないだろうけど、今後のこともあるのでメールで訂正依頼をお願いした。
……今日中に返事がくればいいんだけど。
去年まで一緒に働いていた合田さんだったが、苦手な社員のひとりだ。
仕事に対するスタイルは人それぞれだから特に意見するつもりはないが、腰かけだと明言する彼女の考えは自分とはかけ離れているのは確かだ。
少し仕事上で気に入らないことがあると、はっきりと顔に出てしまう彼女は私とは正反対だ。
私はなにかあっても冷静を装って心の中はいつも隠しているから。
「蓮井さん、ちょっといい?」
急に山崎部長から声をかけられて、顔をあげた。デスクから立ちあがりすぐに、山崎部長のデスクの前へと向かう。