社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
週明け、私はいつもよりも念入りに身支度を整えた。
そしてまだ電車が混む前に会社へと向かう。
あの日の翌日の、土曜日もその次の日の日曜日も、若林くんのことが頭から離れなかった。
それでも土曜は、気分転換をしようと色々やってみたけれど、まったく効果がなかったので日曜はなにもせずにただベッドに横になっていた。
何度もスマホが震えているのを見たけれど、一切手にはとらなかった。
ベッドにいたからといって、眠れるわけではない。
結局、ウトウトしただけで朝を迎えこのまま遅刻してはいけないと思い、身支度を整えて家を出たのだ。
駅について、会社へと向かう。いつもと違い人気がまばらだった。人の波にもまれることもなく歩き続けると、いつもよりも短い時間で到着した。
この時間だと、まだ表のエントランスは開いていない。私はIDカードを取り出しながら、裏口に向かう。
少し重い扉を開けて、守衛室に挨拶してIDカードを通す。
ガラス越しにこちらを見る守衛さんに、頭をさげて軽く挨拶をして、奥まった場所にあるエレベーターへと向かって歩く。
薄暗い廊下に、カツカツとヒールの音が響く。
この音は嫌いじゃない。
自分の出すヒールの音をかき消すように、男性の声が聞こえる。
「貴和子さん……」
あの夜、何度となく彼に呼ばれた自分の名前が耳に届く。
それだけで甘い痺れが背筋を駆け上るけれど、私はそれを打ち消すようにして背筋を伸ばして、彼を見つめた。
どうして、こんな時間に彼がここにいるのよ……。
「その呼び方、やめて」
いつものクールな仮面をつけて、じっと彼を睨んだ。
そしてまだ電車が混む前に会社へと向かう。
あの日の翌日の、土曜日もその次の日の日曜日も、若林くんのことが頭から離れなかった。
それでも土曜は、気分転換をしようと色々やってみたけれど、まったく効果がなかったので日曜はなにもせずにただベッドに横になっていた。
何度もスマホが震えているのを見たけれど、一切手にはとらなかった。
ベッドにいたからといって、眠れるわけではない。
結局、ウトウトしただけで朝を迎えこのまま遅刻してはいけないと思い、身支度を整えて家を出たのだ。
駅について、会社へと向かう。いつもと違い人気がまばらだった。人の波にもまれることもなく歩き続けると、いつもよりも短い時間で到着した。
この時間だと、まだ表のエントランスは開いていない。私はIDカードを取り出しながら、裏口に向かう。
少し重い扉を開けて、守衛室に挨拶してIDカードを通す。
ガラス越しにこちらを見る守衛さんに、頭をさげて軽く挨拶をして、奥まった場所にあるエレベーターへと向かって歩く。
薄暗い廊下に、カツカツとヒールの音が響く。
この音は嫌いじゃない。
自分の出すヒールの音をかき消すように、男性の声が聞こえる。
「貴和子さん……」
あの夜、何度となく彼に呼ばれた自分の名前が耳に届く。
それだけで甘い痺れが背筋を駆け上るけれど、私はそれを打ち消すようにして背筋を伸ばして、彼を見つめた。
どうして、こんな時間に彼がここにいるのよ……。
「その呼び方、やめて」
いつものクールな仮面をつけて、じっと彼を睨んだ。