社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
彼の熱い言葉に、思わず喜びが溢れそうになる。けれどそれを押さえつけた。

「だからって、私に同じ気持ちを求めようとするの?」

ハッとした顔の若林くんが、じっと私の顔を見つめた。

私が彼とこの先、どうにかなる意思はないことが伝わったようだ。

彼は拳を握り締めてなにも話さない。

「なぜ、私にこだわるの? 若林くんだったらきっと、いくらでも他の女の子がほうっておかないはずだわ。どんな女の子でも手に入るわよ」

実際に、男女問わず社内でも評判がいい。私なんかではなく、もっと自信があって可愛らしい人が彼の隣には似合う。

「そんなことありません。実際、オレが貴和子さんに拒否されてる」

彼が反撃するかのように、声をあげ私にゆっくりと近づいてきた。

私は返す言葉もなく、その気迫にごくりと喉を鳴らす・なにか言おうと思うけれど、喉が張りついたみたいで声が出なかった。

彼が私の真ん前まで来て、そっと手を握った。

金曜の強引な感じではなく、優しく……そういつかマッサージをしてくれた時のようにゆっくりと。
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