社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
私の弱い心の中を、探るように。手をひっこめようとしたけれど、それは許してくれない。

絡み合うように指を絡ませる。それだけで、頬に熱がこもる。

「たしかに、あの日オレはあなたが落ち込んでいるところにつけ込みました。だけど謝りません」

顔をあげて、彼の顔を見る。そこからは怒りの色は消えていた。

けれど真剣な表情を浮かべて、まっすぐ射るように私を見ていた。そしてそんな彼から目が離せない。

「以前、あなたはオレ失敗ばかり見られると言いましたが、それは違います。オレはずっと貴和子さんを見ていたんです」

突然の告白に驚いて目を瞬かせた。

そんな……。

胸が甘い音を立てた。そしてその後ドクドクと大きく脈打つ。

なんて言えばいいんだろう。考えなければいけないのになにも思いつかない。

ただ彼の気持ちを受け止めることしかできない。

自分がどんな顔をしているかわからない。咄嗟に俯いた私を、若林くんが抱きしめた。

「オレ、絶対あきらめませんから」

彼の匂いと熱に包まれて、戸惑う。はじめてじゃないのに、なのにどうしてこんなにドキドキしてしまうんだろうか。
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