社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
「っと……あ、これだ」

紙づまりを起こしている箇所はすぐわかったけれど、うまく手が届かない。

精一杯手をのばして、紙の端を掴んだが「ビリッ」と音をたてて、破けてしまう。

「あっ……もうっ!」

ついてない、とことんついてない。

がっくりとうなだれている私の後ろから声が聞こえた。

「大丈夫ですか?」

振り向くとそこには、今朝私を助けてくれた時と、同じセリフを放った若林くんが気遣わしげな表情で立っていた。

「あ、もしかして使うの? ごめんすぐ直すから」

どうにかしようと、屈んでコピー機の中を覗きこむと、隣に若林くんが膝をついた。

「ちょっと、見せてください」

私は彼の言葉に甘えて、そっと体を横にずらした。

すると、詰まった箇所を確認すると外側から別の扉を開けて、難なくつまった紙を取り出してくれた。

「うそ、そんなところにもうひとつ扉があったの?」

「そうみたいですね」

彼がニコッと笑って扉を締めるとエラーが解消された。

立ち上がった彼がボタンを押すと、コピーが再開される。

「よかった。どうしようかと思ってたの。ありがとう」

「いえ、手伝うって言った手前、内心直らなければどうしようかと思っていました」

「そんな……今日はなんだか、助けてもらってばかりで。本当に助かった」

私は資料を揃えながらお礼を言う。
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