普通の人間の恋
俺はわかったわかったと彼女を落ち着かせ、電話を切った。
「わり、ちょっと彼女んとこ行ってくる。」
「おおー!熱いなあー!俺もそんな恋愛がしてみてえぜ」
「はは・・お前にはきっといい彼女ができるよ」
からかわれながら飲んだ分の金を払い、電車に乗り、
一人暮らしの彼女の住んでるマンションへ向かった。
そのマンションの付近まで来てみると俺が絶対来ると思ってたのか、
窓際に立ち、携帯を片手にずっと夜空を見ていた。
まさかと思い、携帯を見てみると30分もしない間に着信履歴20件。
深いため息をつき、彼女に電話をする。
「・・・皐月くん・・?」
「遅くなった・・・来たから開けて」
「うん!」
沈んでた声が明るく浮いた声になった。
そして彼女は玄関の戸を開けて、俺に抱き着いた。
相変わらず彼女はふかふかしていて、優しく、甘い匂いがする。
「来ないかと思ってた・・。ごめんね。」
「いつも来てんじゃん。来ないときなんてあったか?」
「・・ないかも!んふふ・・っ」
微笑んだあと、俺の唇に唇を当てる。
とても長く、深く当てていた。