普通の人間の恋

ギャンブル



1年前、私は彼氏に告白をした。
優しく、にこにこ微笑んでいる彼に。
彼は誰とも付き合ったことがなくて、純粋に可愛いと思った。


「皐月ちゃんごめんね。またお金いいかな・・」

「またぁ~?もぉ~」


そんな彼はとにかくお金が無かった。
大体は私の奢り。
まぁ、特に好きなものも無かったから別に良いといえば良いんだけど・・・。

彼はアルバイトもしていて、特に没頭する趣味も無かった。
アイドル好きでも無ければ、アニメにも興味は無かった。
だとしたらどこにお金が飛ぶのかがわからなくて。

互いが社会人になり、同棲を始めたときにわかった。


「今日は給料日だからどっかご飯食べに行く?」

「・・ごめん。俺ちょっと行かなきゃいけないとこがあって」


初めてだった。
いつもデートは私に任せっきりで行きたいところも無かったくせに。


「珍しいね、行って来ればいいんじゃない?」

「ありがとう皐月ちゃん」


にこっと優しく微笑む顔が可愛くてなんでも許せる気がした。

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