普通の人間の恋


彼はウキウキと外出をした。
常に笑顔の彼でも今の顔は見たことが無かった。

1時間後、彼は不機嫌になりながら帰ってきた。


「お、おかえり・・どうしたの・・?」

「ああああああああああ!!!!ああああ!!!!!!」


頭を抱え、いきなり大声をあげた。
一瞬何が何だかわからなくて、私の好きな彼なのかもわからなくて。


「負けた・・・負けたんだ・・」

「負けた?」

「・・ごめんね。俺の給料18万全部飛んじゃったんだ・・」

「・・え!?」


話を聞くと彼は高校の頃、
ギャンブル好きだった父の影響で1回大当たりをして
そこからギャンブルにハマったそうだ。

宝くじ、競輪、パチンコ、スロット。
何にでも手を出していたらしいが特に好きだったのは競馬だった。

今回も特に好きな競馬で金を切らせてしまったようだ。


「ごめんね。ごめんね。」


彼が私の胸の中で泣いてるのを見たのは2度目だった。

1回目は私が告白をして、両想いになれて互いに涙を流したこと。
2回目は今日、給料全てが消えたこと。

今日だけで彼のいろんな顔を見た。
頭の中がおかしくなった。


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