ファジー。
こいごころ
2年になっても、運良く高瀬と彩乃とは同じクラスだった。
彩乃は先週の席替えで、私の前の席になった。
高瀬は、2年になってずっと席が遠い。
「今年も夏休み終わるの早かったねー…」
「うん、あのさ理子
…高瀬くんのこと、聞いた?」
お調子者キャラな彩乃がいつになく深刻な表情で、笑いそうになる。
もっともその笑いには、自虐も含まれるのだけれども。
「聞いたよ。
高瀬に彼女できたんでしょ?」
一番後ろで、かつ端っこの私の席からは教室全体が見渡せられる。
高瀬が男女数名に囲まれて楽しそうに笑っている姿も。
「聞いたよって…
理子、いいわけ?」
「え、何が?
私が高瀬を好きだったのは1年の頃だし、
今は何とも思ってないよ?」
「…理子がいいならいいけどさあ……」
彩乃はきっと、知っているんだろう
私がまだ高瀬を好きなことくらい。
でも、どう考えたったってあれは私が招いた結果だし
もう、忘れなくちゃいけない。