ファジー。
高瀬は前席のイスの向きを変え、私の机を挟んで私と向かい合うように座った。
しばらくするとクラスメート達は全員帰って、教室には私たち2人。
パチン、パチンとホッチキスの音が妙に大きく聞こえる。
「…つか、これまじで多くね?
地味な作業あきてきたー」
「最初にサボんなとか言ってた奴が何言い出してんの!」
「うっせーな、思ったことを口にしただけですー
……ってぇ!」
「うわ!?何?」
「ホチキスに指はさんだ……」
高瀬が左手をこちら側に向ける。
人差し指の腹に軽く芯の先が刺さっていた。
「痛そう…
自業自得だけど」
「はあ!?ケガしてる奴に言うことかよ」
「よそ見してた人が悪いでしょ
…ちょっと待って、あるかなぁ」
見たところそこまで大きなケガじゃないけど
高瀬が芯を引き抜いたところに、ほんの少しだけ血が浮かんでいた。
横にかけているバッグに手をいれて、それを取り出した。
「はい、仕方ないからあげる」
高瀬に手渡したのは一枚の絆創膏。
「え、お前バンソーコーとか持ってんの!?
何女子っぽくしてんだよー」
「私女子ですけど?」