私の好きを受け取って。
運ばれてきたもつ鍋を食べながら、翔平の彼女がどんな子なの?とか本来なら聞くべき話は聞けなくて、会社の話とか、最近のアイドルの話とかどうでもいい話を延々と続けた。
何を話したのか、もつ鍋がどんなにおいしかったかは、あまり覚えていないけど、なんだか時間がゆっくり過ぎていくような、ぼんやりとした時間だった。
『今日は俺の報告に付き合わせたし、これまでのお詫びとか含めて俺が出すよ。』
店を出る準備をして会計に向かいながら翔平ごそう切り出す。
『じゃあ、お言葉に甘えて、ありがとう。ごちそうさまでした。』
お詫び?今まで私に言い続けた「好き」って言葉に対して?私が困ってるって思ってたってこと?
店から駅までの道のりは無言でふたりで歩いていたらあっという間に着いてしまった。
『じゃあな。』
翔平に、サヨナラを告げられた。
ぐるぐるして頭がまとまらない。じゃあな。なんてただのあいさつだってことはわかっているけど、このサヨナラが本当に私達を引き離すってことはわかる。