鬼常務の獲物は私!?



常務室に行かない言い訳を「うーん」と考えていたのだが、元村係長の声がやけに焦っていることに気づき、今度はそっちが気になり出した。


「分かりました!すぐにそちらに向かわせますので……はい、はい、ではこれで失礼させていただきます!」


あれ……今の電話、内線のはずだよね?

まるでお客さんから一大事のクレームでも入ったかのような元村係長の慌てぶりに、椅子に座ったまま覗き込むように見てしまったら……受話器を置いた係長と目が合ってしまった。


もしかして……と気付くと同時に、営業部中に聞こえるような大声で言われてしまった。


「福原ちゃん、神永常務がお呼びだから、すぐに常務室に行って!」


「い、今の電話って……」


「そうだよ、神永常務だよ。
いいから、早く行って、すぐ行って」


「で、でも、朝礼が……」


「朝礼なんか出なくていいよ。福原ちゃんが出なくても、なんの支障もないから。
そんなことより、俺たちの身の安全のために早く常務室に行ってきて!」


「は、はい!」



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