鬼常務の獲物は私!?



「緊張しているのか?」

「は、はい……」

「素直な返事だな。だが、緊張しても離さない。俺に触れられることに早く慣れろ」


それは無理です……。

体を寄せると衣類越しでも、筋肉質の体を感じてしまう。

目線の高さに顎のラインがあり、女性の物とは明らかに違う骨格や、コクリと上下する喉仏は、男性と触れ合っていることを強く意識させてくる。

こんなに近いと、彼の香りもハッキリ感じられて……。

香水じゃなくて、もっと爽やかで親しみやすいこの匂い。

シャンプーかな、ボディソープかな……この香り、好きかもしれない……。


ドキドキしすぎて胸が苦しくなってきた。

神永常務の容姿は素敵だ。お付き合いをする気がない私にも、正常な美的感覚はあるから、そう思う。

素敵な男性に触れられたら、こんな私だって、普段は奥に引きこもっている女としてのなにかが目覚めてしまいそう……。


< 108 / 372 >

この作品をシェア

pagetop