鬼常務の獲物は私!?



「綺麗だな……」と、神永常務は溜息まじりに呟いた。

私もそう思う。

買ってもらった後、家でこのネックレスを度々取り出し眺めていて、ピンクダイヤの輝きに、いつもうっとりしてしまう。

同じ思いでいてくれる常務には、もう少しこの輝きを楽しんでもらいたいところだが……そろそろ、恥ずかしさに耐えられなくなってきた。

赤い顔で「もう、しまっても……」と言いかけたら、急に常務の眉間に深いシワが刻まれた。

「きゃあ!」と思わず叫んでしまったのは、さらにボタンをふたつ外されたから。

ブラウスの下にスリップを着ているけれど、透け感のあるレース生地なので、ブラジャーの柄までハッキリ見えているはず。

慌てて両手で胸を覆って隠そうとしたら、両手首を掴まれて、力づくで左右に広げられてしまった。


このまま襲われてしまうのではないかと、心が慌てふためく。

鼓動が限界まで速度を上げ、心臓が壊れてしまいそう。

そんな状況で綺麗な顔がゆっくりと胸もとに近づいてくるから、私の心はさらなるパニックに落とされてしまった。


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