鬼常務の獲物は私!?



お風呂嫌いの太郎くんは、シャワーから逃げようと大暴れ。

それは予想できることだったから、私も最初から裸で、全力でシャンプーしてあげた。

胸の傷は多分その時のもので、探せば他にも引っ掻き傷がありそうな気もする。

小さな傷なんか日常茶飯事なので、気にしないことにしているのだけれど……。


大変だった昨日の出来事を思い出していたら、常務の鋭い視線が胸から私の顔へと移動した。

明らかに不機嫌そうに「この傷はなんだと聞いているだろ」と尋問してくるから、怯えてしまう。


「あ、あの……昨日、太郎くんに……」


震える声でそう言うのが精一杯。

やっぱり常務は恐い……。
どうして怒っているのか分からないから、余計に恐い……。

逃げたいけれど逃げられなくて、ぎゅっと目を瞑ってしまう。

すると「やっぱり太郎か……」と、低い声を至近距離に聞いた。

その直後に、胸の傷の上に、柔らかな感触が……。


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