鬼常務の獲物は私!?



私が自分の考えに沈んでいる間、星乃ちゃんは牛飯弁当を食べながらずっと、占いが外れたことの文句を言っていたみたい。


「日菜、聞いてる?」と言われて、ハッと我に返る。

「あ、ごめん……聞いてなかった」

正直にそう言うと、星乃ちゃんの綺麗な顔が引きつった。


「ほぅ、いい度胸じゃない。もう分かった。
日菜に任せておけないから、私の力でなんとかしてやる」


勢いよく立ち上がった星乃ちゃんは、ドアに視線を向けていて、休憩室から出て行こうとしているみたい。


「仕事に戻るの……?」

そうじゃないことは分かっていても、なにか突拍子もないことを言われてしまいそうな気がして、そんな風に聞いてみた。

すると、「社内放送をかけてくる」と、よく分からないことを真顔で言われてしまう。


「え? 社内放送って、どんな……」


「日菜と神永常務が大晦日から交際を始めたので皆さん温かく見守りましょう……という社内放送をかけてくる。
社員一同が認める既成事実となれば、私の占いも外れたことにならず、全てが上手くいくはず」


「ええっ⁉︎ それは困る!
星乃ちゃん、お願い待って!」


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