鬼常務の獲物は私!?
「出た……。日菜のスマホが15秒後に鳴る。
それは恐らく、神永常務絡み」
今年の運勢と言っていたのに、そんなピンポイントな結果が出されるとは思わず、驚いてしまう。
本当だろうかと怪しみつつポケットからスマホを取り出すと……全員の視線が集中する中で、スマホが震え始めた。
それは神永常務からのメールの受信で……。
【今から俺の部屋に来い。転ばないよう、走らずに急げ】
当たった……すごいと、星乃ちゃんの占い力に感心した後は、たちまち鼓動が速度を上げていく。
この胸の高鳴りが、なにを意味するものなのか……急がなくてはと慌てる心には、それについて深く考えている余裕はなかった。
まだ半分以上残っているお弁当箱をそのままに、スマホをポケットに突っ込むと休憩室から飛び出した。
およそ2分後、今度は転ぶことなく無事に常務室前にたどり着く。
無傷でいられたのは、メールに走るなと書いてくれたお陰だと思う。
大きく深呼吸してからドアをノックすると、中から開けてくれたのは高山さんではなく、神永常務本人で、腕を掴まれて勢いよく中に引っ張り込まれてしまった。