鬼常務の獲物は私!?
誤解の終わりは激しく愛されて



◇◇◇


1月も、もうすぐ終わろうとしている頃。

神永常務の仕事の合間に呼び出されることが、日常的になりつつあった。

今日も16時過ぎに急に呼び出されて、私は今、常務室に来ている。

高山さんは最初からいなかった。
私と神永常務のふたりきり……。

最近は恐いと感じることが減り、気持ち的に足を運びやすくなってはいるが、どうしても緊張だけはしてしまう。

そして今は緊張だけじゃなく、ドキドキの真っ最中で……。


3人掛けソファーの左端に、私は座っていた。

目の前のローテーブル上には湯気立つココアが、私の太ももの上には神永常務の頭があった。

膝枕をする前は並んで座り、肩を抱き寄せられていたのだが、「キスしていいか?」と聞かれ、首をブンブンと横に振ってしまった。

それで、チッと舌打ちした常務に「膝枕で我慢してやる」と言われ、「ありがとうございます」と答えたのだけれど……よく考えると、これもかなりドキドキする。

度重なる過重労働に耐えかねて、私の心臓が逃げ出してしまわないかが心配だった。


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