鬼常務の獲物は私!?



「神永常務、本日より秘書課に配属となりました、比嘉小百合(ひが さゆり)を連れて参りました。
常務の第二秘書として務めることになりますので、よろしくお願い致します」


高山さんがそう言うと、比嘉さんはお手本みたいな正しく美しいお辞儀を披露していた。

第二秘書との紹介に、私は「そっか」と納得する。

神永常務の第二秘書はすぐに辞めてしまうからコロコロ入れ替わると聞いていた。

しばらく第二秘書不在の状態が続いていたようだが、やっと新しい人が来てくれたみたい。

神永常務は忙しい人で、常務のサポートをする高山さんも毎日かなり忙しそう。

そんなふたりをサポートしてくれる人が入ったのなら、少しは仕事が楽になるのではないか……そう考えて、比嘉さんを好意的な目で見ていた。


神永常務は長い足を組み、革張りの椅子にふんぞり返った姿勢で、比嘉さんに声をかけた。


「久しぶりだな、小百合」


その言葉にピクリと反応してしまった私は、ソファーの上から常務と比嘉さんの顔を見比べてしまう。

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