鬼常務の獲物は私!?



バスタオルを腕に抱きしめ、まだ服を着たままの姿で、浴室のドアに背を持たれた。

はあ……次々とハードなことが起きるから、心臓も気持ちも大忙しだ。

彼氏がいる女性って、こういう場面をクリアしてきてるということで、すごいなと尊敬してしまう。


大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせてから、エプロンを外し、事務の制服も脱ごうとした。

さっきの常務みたいにキッチンの横で脱ぐ勇気はないので、浴室の中で脱ぐ。

スカートのホックを外してチャックを下げていたら、ふと後ろのドアが気になった。

開けられる心配はしてないけれど……すりガラスだから、開けなくてもぼんやり見えてしまう……。

夕食を用意したテーブルは、テレビの前にセッティングしておいた。

その位置からだと、間仕切りとして置いてある食器棚が邪魔して、キッチンスペースに足を踏み入れない限り見えない。

だから、大丈夫だと思うけれど……。

気になって脱ぐのを躊躇していると、テレビの音がドアの外から聞こえてきた。

常務は夕食を食べながら、テレビを見ているみたい。

それなら大丈夫だとやっと安心した私は、服を脱いでシャワーを浴びることができた。


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