鬼常務の獲物は私!?



真剣な黒い瞳と視線を絡めて見つめ合う。
無言の間が数秒続いてから、私はゆっくりと頷いた。


「覚悟が決まったか?」

「はい」

「よし」


常務は満足そうな顔をしてベッドから降りた。

私を抱き起こし、ベッドの脇に立たせると、髪に手を伸ばしてくる。

よく拭いてもまだ湿っている髪の毛は、ヘアクリップでひとまとめにしてある。

それを外されて長い髪が肩と背中に垂れると、ひんやりとした感触に思わずピクリと肩を動かしてしまった。


「じっとしてろ」

「はい……」


私の髪を手ぐしで整えてから、常務の指先は首にかけられているネックレスへと移動する。

クリスマスイブのデートで買ってもらったピンクダイヤのネックレスは、最近は外されることなく、ずっと胸もとで輝いていた。

そのチェーンをたどり、ペンダントトップに触れた指先が、さらに下へと移動して今度はバスタオルに向かう。

体に巻きつけたタオルは上端を2回折り返して留めただけ。そこに常務の指がかかると……体を離れて、床にバサリと落ちてしまった。


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