鬼常務の獲物は私!?
頭の中が真っ白になるほどの快感に襲われて、喘ぎながら「好きです」と、初めて想いを口にした。
すると、私を攻めていた常務の手が、なぜか動きを止めてしまう。
「常務……?」
「悪い、もっと感じさせてやりたかったが……ダメだ。もう我慢できない」
彼がゴソゴソと枕の下を探って取り出した物は、見たことのない小さな四角い銀色のパッケージ。
一瞬、なんだろうと思ってしまったが、すぐに避妊具だと気づく。
その途端に、快楽から一気に現実に引き戻され、私の中に緊張が走った。
そ、そうだ……言わなくてはいけないことがあったんだ……。
それは自分の身を守るための大切なことで、「あの」と言いかけた次の瞬間……大きく股を開かれ、下腹部に激痛が走り抜けた。
あまりの痛みに一瞬、息が止まり、その後に「痛い‼︎」と叫んでしまった。
涙がこみ上げ、顔をしかめて、両手で常務の胸を強く押して拒絶してしまう。
すると、常務がピタリと動くのを止めて、慌てて私の中から出て行った。
目を見開いて私を見下ろし、コクリと唾を飲み込んでから問いかける。
「日菜子、お前……処女なのか?」
「はい……」
「バカ野郎! なんで言わないんだ!
思いっきり、入れてしまっただろう!」
「言おうとしたのに、先に常務が……」
溜まった涙が、目尻から流れ落ちる。
こんな時までタイミングが遅れるなんて、自分の鈍臭さに呆れ、怒られてしまったことに悲しくなってしまう。
シクシクと泣きだした私を見て、常務の顔に焦りが広がった。
「今のは俺が悪かった。日菜子、ごめんな……頼むから泣かないでくれ……」